1984年に立教女学院短期大学にお世話になって今年で32年目です。
附属幼稚園の園長になって5年が経ち3月で定年退職することになりました。
天使園に思いを寄せて「藤の会だより」に寄稿しました。
祈りを聞かれる神様
天使園園長 谷口幸三郎
しかし、神はわたしの祈る声に耳を傾け
聞き入れてくださいました。
神をたたえよ。
神はわたしの祈りを退けることなく
慈しみを拒まれませんでした。(詩編66-19、20)
新しい園案内ができました。表紙の写真は園庭のケヤキの木と木製遊具です。背景にあるレンガの建物は短期大学の図書館です。ケヤキの緑をとおして明るい日差しがまぶしく光っています。表紙の真ん中に白抜きの文字があります。「すくすく そだて てんしたち
すなおに のびよ てんしたち」天使園に携わるみんなの願いです。園歌「かがやけてんしたち」のリフレインの歌詞です。作詞してくださったのは短期大学の名誉教授で天使園の園長もなさった水沢政雄先生です。
天使園は1970年短期大学幼児教育科の開設に伴い、同年10月短期大学附属愛児研究所天使園として開園しました。理想の幼児教育の実践の場として短期大学の教育・研究に役立つ場としてスタートしたのでした。その後2002年に幼児教育研究所と名前を変更し、2008年には認可を受けて立教女学院短期大学附属幼稚園天使園となりました。女学院のキリスト教教育、初等教育の基礎として位置づけられました。
天使園の保育は、一朝一夕に作り上げられたものではありません。園長の任を担ってくださった歴代の短期大学の先生方をはじめ、多くの教職員、保護者のみなさま、園児たちが築き上げてくださいました。その積み上げられてきた保育は文化的価値、社会的価値をもつものであるともいえます。そして何より45年以上にわたり幼児期の発達に即した質の高い保育を展開してくることができているのは哀れんでくださる神様の豊かな恵みによるものです。
天使園ではそんな神様に子ども達が日々祈り捧げています。食前のお祈り、帰りの会のお祈り。毎週火曜日には聖マリア礼拝堂で礼拝を守ります。「てんのおとうさま。ゆうべもおまもりくださいまして ありがとうございます。きょうもなかよくすごすことができますように」でも、遊びの中で意見の食い違いや自分の思いを通そうとしてけんかになることが、しょっちゅうあります。仲良く遊べるように祈ったのに、けんかになってしまうなんて神様は子ども達の捧げる祈りを聞いてくださらないのでしょうか。そうではありません。神様はみんながもっともっと仲良くなるためにけんかすることも必要だよとわかっていらっしゃるのです。そのときは嫌な思いもするけんかですが、すぐには止められないのですね。
神様の持っておられる物差しと私たち人間が持っている物差しはあまりにも違いすぎて私たちには理解できないことが、周りに、また、自分の身に起こることがよくあります。
そんなときには自分を見たり、他人を見たり、周囲の環境を見たりすると、ますます落ち込んだり混乱したりしてしまいます。目には見えないけれど天を見上げ、祈ると神様はこんなふうに答えてくださいます。
わたしは、あなたたちのために立てた計画をよく心に留めている、と主は言われる。それは平和の計画であって、災いの計画ではない。将来と希望を与えるものである。(エレミヤ29-11)
天使園の園児たちに、天使園に連なるすべての人たちに感謝して。